映画「渇き。」を見た

見応えのある1本。
原作本を2週間前に読み終えていた。
そのおかげで、どんどん進んでいくストーリー展開に、おいてけぼりにならずにすんだ。
原作を読んでいなければ、よく分からない映画だったかもしれない。

主人公・藤島(役所広司)は不祥事が原因で免職となった元刑事。
妻と娘とは別れ、今は警備会社に勤めてはいる。
孤独で荒んだ暮らしぶりだ。
暑い夏の日、彼のもとに別れた妻から電話がかかってきた。
娘の加奈子(小松菜奈)が、行方不明になった。
さらに、娘のバッグから薬物が出てきた。とても危険な臭いがする。
藤島は、娘の遊び友だちや、通っていた病院を嗅ぎ回るうちに、しだいにやばい連中へと近づいていった。
何度も痛い目に遭いながら、娘との再会に藤島は異常な執念を燃やす。
そして夏が終わり、雪が降り積もる季節になった。
長い暗闇のような時間を費やして、彼がようやくたどり着いた真相とは・・・・

原作を読んだときには、まったく感じなかったが、典型的なハードボイルドのスタイルだ。それと同時に、暴走(元)刑事もの。
とにかく汚くてハイテンションの役所広司が珍しい。
未見なので比較できないが、有名な『シャブ極道』を彼はどんな風に演じていたのか気にかかる。
ストーリーは原作とほぼ同じだった。
原作はミステリというより、異常でダークな暴力小説だった。
映画も同じように狂気と血みどろな暴力に満ちている。
ところが映画を見て、原作ではよく理解できなかった藤島という人物が抱えてしまったものが、分かったような気分になった。
いちばん渇いていたのは、彼だった。

もちろん、それは原作の世界を中島哲也監督が頭の中で編集し再構成し映像化した世界だ。
身勝手な解釈かもしれないが、原作を読み映画を見て、初めて腑に落ちた。
確か原作には出てこなかった「不思議な国のアリス」が、キーワードになってると思うのだが、うまく言えない。
中島監督作品では毎度のことながら、バックに流れる選曲が素晴らしい。

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